ご相談・ご質問など
無料でいつでもお答えします。

関西エリア

06-6308-8850

関東・福岡エリア

03-3455-5066

中部エリア

052-253-6200
対応エリアを見る

家賃値上げ通知の正しい時期|入居者トラブルを防ぐ伝え方のコツ

家賃を値上げしたいとき、多くのオーナーが最初に悩むのは「いつ、どのように伝えるか」という点です。
通知が遅すぎれば入居者に準備の時間を与えられず、早すぎても関係がぎこちなくなります。
しかし実際は、家賃の値上げはオーナーが一方的に実行できるものではないため、通知のタイミングより先に確認しておくべき法律上のルールがあります。

目次

家賃値上げの法的根拠|勝手にできない理由

家賃の増減は、借地借家法第32条によって規律されています。
同条は、次の3つの事情があるときに、当事者が将来に向かって賃料の増減を請求できると定めています。

  • 土地・建物に対する固定資産税などの負担が増減したとき
  • 土地・建物の価格が上昇または下落するなど、経済事情が変動したとき
  • 近隣の同種建物の賃料と比較して、現行賃料が不相当になったとき

この規定は「請求できる」という構造になっており、オーナーが値上げを通知すれば自動的に効力が生じるわけではなく、入居者との合意がなければ、賃料は変更されません。
賃貸借契約に「オーナーの判断で賃料を改定できる」といった条項があっても、借地借家法は強行規定であるため、その条項は効力を持ちません。

また、定期借家契約の場合は契約期間中の賃料改定について別途の取り決めが必要になることもあるため、契約形態によって対応が異なる点にも注意が必要です。

値上げを請求できる事情の判断は慎重に

「物価が上がったから」「修繕費がかさんだから」という理由は、上記の法定事由と必ず一致するわけではないです。
固定資産税の増額通知や、近隣の類似物件の賃料相場を示すデータなど、客観的な根拠を用意しておくことが、入居者との交渉においても重要になってきます

家賃値上げの正しい通知時期

通知のタイミングについては、借地借家法に明確な規定はありません。

なぜかというと、借地借家法第26条が、期間の定めのある普通借家契約において更新しない場合の通知期限を「1年前から6か月前まで」と定めていることが関係しています。
値上げを更新条件として提示する場合、入居者がその条件を受け入れるか、退去を選ぶかを判断できる時間を確保するには、更新日の少なくとも3か月前、できれば6か月前には伝えておくのが現実的で良心的です。

この時期を逃して更新直前に通知すると、入居者が十分に検討できず、感情的なトラブルに発展しやすくなります。
法的義務ではありませんが、通知が遅くなるほど交渉が難航する傾向は明らかです。

更新のない月々の賃貸でも同様に考える

月単位の契約や自動更新型の契約では更新時期の概念が薄くなりますが、それでも通知から実施まで一定の猶予を設けることが望ましいです。
少なくとも数か月の余裕をもって伝えることで、入居者が家計を見直す時間が生まれ、受け入れてもらいやすくなります。

入居者トラブルを防ぐ方法・伝えるコツ

理由と根拠をセットで伝える

値上げの通知で最もトラブルになりやすいのは、理由の説明が抽象的なときです。
経済状況の変化によりといった表現だけでは、入居者は納得しにくいです。
固定資産税の増額通知書の写し、近隣の賃料相場を示す不動産情報、修繕や維持管理にかかるコストの推移など、具体的な根拠を示すことで、交渉の土台が整います。

入居者に「なぜ今なのか」「なぜこの金額なのか」が伝わると、感情的な反発が起きにくくなります。

通知は書面で、記録を残す

口頭でのやりとりだけでは、後から「言った・言ってない」のトラブルになります。値上げの通知は書面で行い、通知日・新賃料・適用開始日・理由を明記してください。
内容証明郵便を使えば通知の到達を証明しやすく、交渉が長期化した場合の記録にもなります。

管理会社経由で対応する場合は、通知文の写しを保管しておく習慣をつけておきましょう。

一度に大きく上げようとしない 

値上げ幅が大きいほど入居者の抵抗感は強くなり、退去リスクも高まります。
近隣相場との乖離を少しずつ修正していく形を取ると、合意を得やすくなります。
長期入居者に対しては特に丁寧な説明が必要で、関係性を壊さない範囲での段階的な対応が、長い目で見ればオーナーにとっても合理的です。

入居者の立場を想像した言葉を選ぶ

通知文の文体や内容が事務的すぎると、入居者は「一方的に決められた」と感じやすくなります。
現在の賃料に感謝を示しつつ、値上げを依頼するという姿勢で書くと受け取られ方が変わります。
「ご迷惑をおかけしますが、引き続きよろしくお願いします」という一文があるだけでも、読んだときの印象は大きく違います。形式的な通知文より、誠実さが伝わる文章のほうが交渉を円滑に進めます。

管理会社が間に入るメリット 

管理会社が間に入る事で、オーナー様の負担は大きく減少します

オーナーと入居者が直接交渉すると、感情的になりやすく関係が壊れるリスクがあります。
管理会社が間に入ることで、入居者は「オーナーの一存ではなく専門家の判断が入っている」と感じやすく、話し合いが落ち着いて進むことが多くなります。

周辺環境の徹底的な再調査

交渉を開始する前に、まずは周辺環境の徹底的な再調査が必要です。
単に周辺相場が上がったという曖昧な認識ではなく、対象物件と同じ駅からの距離、築年数、設備条件を備えた競合物件を5件から10件程度ピックアップし、それらの成約賃料や募集条件を詳細な比較表としてまとめます。

維持改善実績の整理と提示

次に、これまでオーナーとして行ってきた物件の維持改善実績を整理します。
共有部のLED化やインターホンの交換、防犯カメラの設置、外壁塗装など、入居者の利便性や安全性向上に寄与した投資があれば、それを賃料水準を維持・向上させる正当な理由として提示します。
入居者にとってメリットがあったことを再認識してもらうことで、値上げへの心理的なハードルを下げられます。

説明機会の創出

交渉の第一段階では、書面を送付するだけでなく、管理会社の担当者を通じて説明機会を設けるのが理想的です。
文字だけでは伝わりにくいニュアンスや、物件維持にかけるオーナーの想いを補足することで、双方向のコミュニケーションが生まれます。
入居者の経済状況やライフステージにも配慮を示しつつ、なぜこのタイミングでの改定が必要なのかを誠実に語りかける姿勢が、最終的な合意率に大きく影響します。

柔軟な妥協案の模索

もし一度の提示で拒絶された場合でも、すぐに感情的になってはいけません。
相手の主張に耳を傾け、どの程度の金額なら受け入れ可能か、あるいは時期をずらせば合意できるかなど、歩み寄りの余地を探ります。
当初提示した額より500円下げて合意する、あるいは一定期間のみ増額を猶予するといった柔軟な対応も、訴訟費用や退去リスクを考えれば合理的な経営判断といえるでしょう。

賃料改定の合意書作成

合意に至った場合は、必ず書面で合意書を作成してください。
合意した賃料の額、適用開始日、次回の改定時期に関する見通しなどを明記します。
口頭での合意は後に撤回される恐れがあるため、たとえ良好な関係であっても形式を整えることが、双方の権利を守ることにつながります。

交渉決裂時のリスク管理と対策

法的手段としての民事調停

交渉がどうしても進まない場合、オーナーは法的手段を検討することになります。
賃料増減に関する訴訟には調停前置主義が適用されるため、まずは民事調停を申し立てます。
これは裁判官と専門家が間に入り、妥当な落とし所を模索する場です。訴訟に比べて費用が抑えられ、非公開で行われるため物件の評判に傷がつく心配も少なくなります。
ただし、調停が成立するまでには数か月から半年以上の期間を要することが多く、その間の労力も無視できません。

退去リスクの精査

強引な手法で入居者を追い出そうとすることは、法律上認められません。
退去を選ばれた場合のリスクも精査しておくべきです。
空室期間の損失、入居募集の広告費、原状回復費用の持ち出しなどを計算すると、多少の値上げを諦めてでも優良な入居者に住み続けてもらうほうが、トータルの収支でプラスになるケースは珍しくありません。
値上げはあくまで手段であり、収益の安定化という目的を見失わないように注意が必要です。

継続的な信頼関係の維持

交渉が決裂し、現状の賃料を維持することになったとしても、その後の管理対応を疎かにしてはいけません。
不当な扱いをすれば、入居者の不満が募り、建物の劣化を放置されるなどの二次的なリスクを招きます。
今回の交渉は一度の出来事として割り切り、オーナーとしての義務を誠実に果たす姿勢を持ち続けることが、将来的な再交渉の余地を残すことになります。

客観的な根拠資料の作り方

地図を用いた競合比較

入居者を納得させるためには、視覚的にもわかりやすい資料の準備が有効です。
地図上に周辺物件をプロットし、それぞれの賃料とスペックを並べた比較図を作成します。
単なるリストよりも、位置関係とあわせて見ることで、自分の住んでいる部屋が今の相場より安いという事実を客観的に認識しやすくなります。
この際、リフォーム済みの物件や新築物件だけを並べるのではなく、同程度の築年数の物件をバランスよく選ぶことが信頼性を高めます。

写真付きの投資履歴一覧

直近5年間で行った大規模修繕や設備更新の記録を写真付きでまとめます。
見えない場所の修繕、例えば給排水管の更生工事や屋上防水なども、安全な生活を支えるための重要な投資であることを丁寧に説明します。
これらの資料を威圧的にならないデザインの封筒に入れ、丁寧な挨拶状とともに送付することが成功への第一歩です。
入居者への日頃の感謝を添えることを忘れないでください。

段階的な増額プランの提示

一度に数千円の値上げを求めるのが難しいと感じる場合は、段階的な改定を提案するのも一つの手です。
1年目は月額1,000円アップ、2年目以降はさらに1,000円アップといった形で、入居者の家計への急激な負担を緩和するプランを提示します。
オーナーも歩み寄ろうとしているという姿勢が伝わり、対立構造を回避しやすくなります。

名目を変えた実質的な改定

賃料そのものを上げる代わりに、月々の共益費や管理費を改定するというアプローチもあります。
名目は異なりますがトータルの受取額を増やすという目的は達成されます。
特に共益費は、物価高騰による電気代や清掃費の増大を理由にしやすいため、入居者の理解を得やすい傾向にあります。

家賃値上げに関するよくある質問

入居者が値上げに同意しない場合、どうすればよいですか?

合意が得られなくても、すぐに契約解除や強制退去に進むことはできません。
借地借家法第32条第3項により、入居者は合意が成立するまで相当と認める額を支払い続けながら交渉を続けることができます。
話し合いで解決しない場合は調停の申立てが次の手段となります。
賃料増減に関する訴訟には調停前置主義(民事調停法第24条の2)が適用されるため、調停を経ずに訴訟を提起することは原則として認められていません。

値上げを断られたことを理由に、更新を拒絶できますか?

普通借家契約において、賃料交渉の不成立だけを理由に更新を拒絶することは、正当事由(借地借家法第28条)として認められない可能性が高いです。賃料条件の折り合いがつかないことは、正当事由の要件を満たしにくいと考えておくのが無難です。

定期借家契約でも借地借家法第32条は適用されますか?

普通借家契約において、賃料交渉の不成立だけを理由に更新を拒絶することは、正当事由(借地借家法第28条)として認められない可能性が高いです。賃料条件の折り合いがつかないことは、正当事由の要件を満たしにくいと考えておくのが無難です。

定期借家契約でも借地借家法第32条は適用されますか?

定期借家契約に賃料不増減特約が盛り込まれている場合、借地借家法第32条による増額請求権は適用されません。契約書の内容を必ず確認した上で、改定条件について取り決めるようにしてください。

家賃の値上げは、法的な手続きの理解と入居者への丁寧な対応の両輪で成り立ちます。
通知のタイミングも、根拠の提示も、交渉の進め方も、どれか一つが欠けるとトラブルの種になります。
正しい知識を持って準備を進めることが、長期的な賃貸経営の安定につながります。

この記事を書いた人

お問い合わせ
お問い合わせ
無料家賃査定
無料家賃査定